プロスポーツのファンとスポンサーを増やす会場装飾の考え方|デザイナー目線で解説
プロスポーツチームの課題として、よく挙がるのが「ファンが増えない」「スポンサーが増えない」「既存スポンサーへの提供価値を高めたい」という悩みです。
試合の魅力や選手の活躍はもちろん重要です。 しかし、ファンやスポンサーを増やすためには、試合そのものだけでなく、会場でどのような体験を提供するかも大切です。
ファンは、ただスポーツを見るためだけに会場へ来ているわけではありません。 興奮したい、思い出を作りたい、誰かに話したくなる体験をしたい。 その積み重ねが、ファンの増加やSNSでの拡散につながります。
今回は、プロスポーツのファンとスポンサーを増やす方法について、デザイナー目線で解説します。
- ファンを増やすには、試合前後も含めて、興奮や思い出を作る会場体験を設計することが大切です。
- スポンサーを増やすには、ロゴを並べるだけでなく、見られる・伝わる・好意的に受け取られる掲出方法を考える必要があります。
- 会場装飾をグッズ販売やスポンサー企画と組み合わせることで、装飾費用を回収できる仕組みを作れます。
1. デザイナー目線での解決とは
デザイナー目線でプロスポーツチームの課題を解決する方法は、大きく2つあります。
1つ目は、見た目を良くすることです。 会場を装飾し、チームらしい雰囲気や世界観を作ることで、来場者の印象を高めます。
2つ目は、目的を見極め、その目的に合ったルートを作ることです。
デザイナーは、ただ見た目がかっこいいものを作るだけではありません。 集客、使いやすさ、認知向上、購買促進など、目的に合わせてデザインを考えます。
たとえば、使いやすさを重視する場合は、見た目のかっこよさよりも、文字を大きくしたり、ボタンの色や位置を分かりやすくしたりします。 つまりデザインとは、目的を達成するための手段です。
| 方法 | 内容 | スポーツ会場での例 |
|---|---|---|
| 見た目を良くする | 会場の印象や世界観を整える | チームカラーで統一する、フォトスポットを作る |
| 目的に合ったルートを作る | 集客やスポンサー価値向上につながる導線を設計する | SNS投稿しやすい装飾、スポンサーが見られやすい掲出を作る |
では、プロスポーツチームにとっての目的とは何でしょうか。 それは、ファンに興奮や思い出を提供し、また来たいと思ってもらうことです。
2. プロスポーツは何を売っているのか
プロスポーツは、何を売っているのでしょうか。 ファンは何をしに会場へ来るのでしょうか。
「スポーツを見るため」と考える方も多いかもしれません。 もちろん、それは間違いではありません。
しかし、ファンが本当に求めているのは、スポーツを見ることだけではありません。
ファンは、興奮を覚えに、思い出を作りに来ていると考えることが大切です。
試合で興奮し、会場で写真を撮り、グッズを買い、誰かに話したくなる。 このような体験が増えるほど、ファンは「また来たい」と感じやすくなります。
そして、楽しい体験は人に伝えたくなります。 友達や恋人を誘ったり、SNSに投稿したりすることで、ファンが次のファンを増やしていきます。
ファンが会場で求めている体験
| ファンが求めること | 会場でできる工夫 |
|---|---|
| 興奮したい | 入場前から気分が高まる装飾を設置する |
| 思い出を作りたい | 写真を撮りたくなるフォトスポットを作る |
| 誰かに共有したい | SNS投稿したくなるデザインや仕掛けを作る |
| チームの世界観に入りたい | 会場全体をチームカラーやコンセプトで統一する |
| グッズを買いたい | グッズ売り場も装飾し、購入体験を高める |
遊園地に行くと、遠くから見える建物や観覧車で気持ちが高まります。 入口を入ると、アトラクションやキャラクターが迎えてくれ、帰りにはお土産を買って最後まで思い出を積み重ねます。
プロスポーツの会場でも、同じような体験づくりが必要です。 試合内容だけでなく、試合を見る前後の体験も含めて設計することで、ファンの満足度を高めることができます。
3. ファンの心を動かすために会場装飾をしよう
ファンの心を動かし、興奮してもらい、多くの思い出を作ってもらう方法のひとつが、会場装飾です。
会場装飾は、ただ見た目を華やかにするためだけのものではありません。
- どんなチームとして記憶してほしいか
- どんな気持ちで会場に入ってほしいか
- どんな写真を撮ってほしいか
- 誰に共有してほしいか
このような目的を考えたうえで、コンセプトを決めることが重要です。
会場装飾でできること
| 目的 | 装飾でできること |
|---|---|
| チームの世界観を伝える | チームカラーやコンセプトで会場全体を統一する |
| 試合前から気分を高める | 入口、階段、通路、外周に装飾を設置する |
| SNS拡散を促す | フォトスポットや撮影したくなる装飾を作る |
| グッズ購入につなげる | グッズ売り場を装飾し、購買体験を高める |
| スポンサー価値を高める | スポンサー掲出を見られやすく、伝わりやすくする |
会場を装飾するだけで、ワクワク感は高まります。 その期待が試合前から気持ちを高め、試合の興奮度にもつながります。
また、会場装飾によって「ここで試合やイベントが行われている」と周囲に認知されやすくなります。 その結果、興味を持つ人が増えるきっかけにもなります。
4. 会場装飾の事例
ここからは、実際の会場装飾の考え方を事例ごとに紹介します。
チームのコンセプトや課題に合わせて装飾を設計することで、ファンの記憶に残る会場づくりができます。
横浜ビー・コルセアーズ様|船上バスケの世界観を作る
横浜ビー・コルセアーズ様は、海賊をイメージしたチームです。
そこで、会場全体を海賊船と、その船が停泊する港に見立てる「船上バスケ」というコンセプトで装飾を考えます。
選手は海賊の人気者や凄腕の海賊たち。 ファンは共に戦う海賊の船員や、港にいる海賊ファンです。
敵船と船の上でバスケットボールで戦うような世界観を作ることで、スポーツを一種のエンターテインメントに昇華できます。
このように世界観を共有することで、ファンの気持ちのつながりが強まり、ファン離れもしづらくなります。
注目ポイント:七変化のぼり旗
七変化のぼり旗は、のぼり旗のカットを自由にできる装飾アイテムです。
横浜ビー・コルセアーズ様のような海賊の世界観では、下部をあえて「古くてボロボロになった」ようにカットすることで、通常のきれいなのぼり旗とは違う印象を作れます。
布が古くなったような色合いでデザインすれば、さらに海賊らしさを演出できます。
装飾品は、必ずしも「かっこよく、美しく」ある必要はありません。 会場の世界観に合っていれば、写真を撮りたくなる装飾になります。
ライジングゼファー福岡様|会場とチームのイメージを結びつける
ライジングゼファー福岡様では、メインアリーナが変わったタイミングで、会場とチームのイメージを結びつけることが大切でした。
そのため、ロゴをベースに会場を青に染め、ライジングゼファー福岡様らしい印象を作ります。
ロゴ変更から時間が経っていなかったこともあり、ロゴデザインを会場内のさまざまな場所に使用することで、チームイメージの定着を狙います。
注目ポイント:会場扉ツクポリン
会場の扉が緑色だった場合、青を基調とした会場づくりでは大きく印象がずれてしまいます。
しかし、体育館の扉を塗り替えることは簡単ではありません。
そこで、貼って剥がせるシートを扉のサイズや形状に合わせて制作します。 試合がある日はシートを貼って青色にし、試合が終われば剥がして通常の体育館の扉に戻すことができます。
このように、常設できない会場でも、ツクポリンを使うことで試合日だけチームカラーの空間を作ることができます。
注目ポイント:フォトスポット(インタビューパネル)
「アリーナが変わりました」ということを印象的に伝えるために、フォトスポットを作る方法もあります。
たとえば、壁面が壊れたようなデザインのパネルを設置すれば、来場者がパンチするような構えで撮影できます。
実際に多くのファンが撮影したツールであり、SNS投稿のきっかけにもなります。
佐賀バルーナーズ様|入口で一気に世界観へ引き込む
佐賀バルーナーズ様では、会場に入った瞬間の感動とインパクトを重視します。
何もない体育館の入口や階段周りに装飾を加えることで、来場者を佐賀バルーナーズ様の世界に一気に引き込む演出です。
注目ポイント:階段ツクポリン
階段ツクポリンは、階段一段一段に分割したシートを貼り、下から見たときに一枚の大きな絵として見える装飾です。
制作には階段のサイズを正確に測る必要があり、手間もかかります。 しかし、会場に入った瞬間に大きなビジュアルが目に入るため、記憶に残りやすい表現方法です。
入口や階段は、来場者が必ず通る場所です。 そこを装飾することで、会場体験の始まりから強い印象を残せます。
アースフレンズ東京Z様|選手・チアのファンを増やす
アースフレンズ東京Z様では、選手やチアのファンを増やすことを目的に、各種ツールに選手とチアを前面に出しています。
人を載せたツールは目を引きやすく、注目を集めやすい特徴があります。
また、一人ひとりの名前を覚えてもらうことで、各選手・各チアに個別のファンがつき、結果としてチーム全体のファン増加にもつながります。
注目ポイント:ロールアップバナー
ロールアップバナーを選手やチアの実寸大に合わせて制作すると、来場者は実際の身長や存在感をリアルに感じられます。
選手とチアで色合いを少し変えることで、それぞれが与える印象にも差を出せます。
実寸大のロールアップバナーは、選手やチアとのツーショットを撮っているような体験にもつながります。 写真を撮ることで、SNSへの投稿も期待できます。
会場装飾事例のまとめ
| チーム事例 | コンセプト・目的 | 主な装飾 | 期待できる効果 |
|---|---|---|---|
| 横浜ビー・コルセアーズ様 | 船上バスケ、海賊の世界観 | 七変化のぼり旗 | 世界観の演出、写真を撮りたくなる装飾 |
| ライジングゼファー福岡様 | 会場とチームイメージの結びつけ | 会場扉ツクポリン、フォトスポット | チームカラーの統一、SNS投稿の促進 |
| 佐賀バルーナーズ様 | 入場時の感動とインパクト | 階段ツクポリン | 会場に入った瞬間の印象づけ |
| アースフレンズ東京Z様 | 選手・チアのファン増加 | ロールアップバナー | 個人ファンの獲得、写真撮影、SNS拡散 |
上記のように、会場装飾にはそれぞれ目的があります。 単に装飾するのではなく、「何を記憶してほしいか」「どんな行動をしてほしいか」を決めて設計することが大切です。
5. スポンサーのために何ができるのか
ファンは、興奮や思い出を作りに会場へ来ています。 では、スポンサーは何のためにスポンサーになっているのでしょうか。
もちろん、そのチームが好き、そのスポーツが好きで応援したいという気持ちもあるでしょう。 それ以外の理由としては、大きく次の3つが考えられます。
| スポンサーの目的 | 内容 |
|---|---|
| イメージアップ | チームやスポーツの良い印象と自社を結びつけたい |
| 認知 | 自社名、商品、サービスを知ってもらいたい |
| つながり作り | 他のスポンサーやチーム関係者との接点を作りたい |
特に、イメージアップと認知については、会場装飾やスポンサー掲出の見せ方が重要になります。
スポンサー掲載をただ並べていませんか?
スポーツ会場に行くと、スポンサーのロゴを並べたパネルを見かけます。
もちろん、スポンサー名を掲出することは大切です。 しかし、ロゴを並べただけでは、多くの来場者に見てもらえない可能性があります。
見られなければ、イメージアップにも認知にもつながりにくくなります。
スポンサー掲出を見られる広告に変える方法
| 方法 | 内容 | 向いているスポンサー |
|---|---|---|
| 選手・チアとのコラボ広告 | 選手やチアがスポンサー商品を身につけた広告を作る | BtoC企業、商品を見せたい企業 |
| サイネージで紹介 | 動画で会社や商品を紹介する | サービス内容を説明したい企業 |
| 広告枠として使う | ロゴだけでなく、スポンサーの広告デザインを掲出する | 商品やキャンペーンを訴求したい企業 |
| フォトスポット化 | スポンサー名と撮影したくなる仕掛けを組み合わせる | SNS拡散を狙いたい企業 |
たとえば、アースフレンズ東京Z様のように、スポンサーと選手・チアのコラボ広告を作る方法があります。
選手やチアにスポンサーの商品を身に付けてもらい、そのビジュアルを会場装飾に使えば、ファンは自然と見てくれます。
ファンにとっても、普段見られない選手やチアの姿を見られることは嬉しい体験です。
その結果、スポンサーを好意的なメッセージとして紹介できます。 特にBtoCのスポンサー様を紹介するには効果的な方法です。
スポンサーに直接聞くことも大切
スポンサー掲出を改善するうえで重要なのは、スポンサーが何を望んでいるかを知ることです。
「何かできることはありませんか?」と聞いてみるだけでも、提案の幅は広がります。
スポンサーが求めているのが認知なのか、商品紹介なのか、採用なのか、地域貢献なのかによって、最適な掲出方法は変わります。
6. 装飾費用を回収する方法
ここまで読むと、「会場装飾をしっかり作るにはお金がかかりそう」と感じる方もいるかもしれません。
実際、会場装飾には費用がかかります。 しかし、重要なのは、装飾費用を回収できる仕組みを作ることです。
その方法のひとつが、会場装飾に使ったツールをグッズとして販売することです。
特に、選手やチアが載った装飾ツールを欲しがるファンは多くいます。 会場で使った装飾を、試合後やシーズン終了後に販売できれば、装飾費用の回収につながります。
装飾とグッズ販売のサイクル
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 装飾を作る |
| 2 | 会場のワクワク感が高まり、ファン体験が良くなる |
| 3 | 装飾に使ったツールをグッズとして販売する |
| 4 | 売上が次の装飾予算になる |
| 5 | さらに装飾を作り、ファン体験を高める |
このように、装飾とグッズ販売をつなげることで、継続的な会場づくりがしやすくなります。
先に販売してから作る方法もある
もうひとつの方法は、先に販売してからグッズを作ることです。
つまり、先に注文や支払いを受けて、その分だけグッズを制作する方法です。
この方法であれば、金銭的な心配や在庫リスクを抑えやすくなります。
グッズや装飾を欲しがるファンがいるのに作らない、販売しないことは、ファンにとっても残念なことです。
ファンのためにもチームのためにも、販売できるものは販売するという考え方が大切です。
7. よくある質問
- Q1. プロスポーツチームがファンを増やすには、まず何を考えるべきですか?
- A. まず、ファンが会場で何を体験したいのかを考えることが大切です。 試合を見るだけでなく、興奮したい、思い出を作りたい、誰かに共有したいという気持ちに応える会場づくりが必要です。
- Q2. 会場装飾はファン増加に役立ちますか?
- A. はい。会場装飾によって、試合前から気分を高めたり、写真を撮りたくなる場所を作ったりできます。 SNS投稿につながれば、チームの認知拡大や新しいファン獲得のきっかけにもなります。
- Q3. スポンサー掲出で注意すべきことは何ですか?
- A. ロゴを並べるだけで終わらせないことです。 スポンサーの目的に合わせて、商品紹介、選手・チアとのコラボ、動画紹介、フォトスポット化など、見られやすく伝わりやすい方法を考えることが大切です。
- Q4. 会場装飾の費用が心配な場合はどうすればよいですか?
- A. 会場装飾に使ったツールをグッズとして販売する方法があります。 選手やチアが載ったツールはファンが欲しがる可能性があるため、装飾費用の回収につなげることができます。
- Q5. 常設できない体育館でも会場装飾はできますか?
- A. はい。貼って剥がせるシートや、設置・撤去しやすいバナー、ロールアップバナーなどを使えば、試合日だけチームカラーや世界観を演出できます。
8. まとめ|ファンとスポンサーを増やすには会場体験の設計が重要
プロスポーツのファンとスポンサーを増やすためには、試合内容だけでなく、会場体験全体を設計することが大切です。
ファンは、スポーツを見るだけでなく、興奮を覚えに、思い出を作りに会場へ来ています。
そのためには、会場装飾を使って、試合前から気持ちを高め、写真を撮りたくなる場所を作り、SNSで共有したくなる体験を用意することが重要です。
スポンサーに対しても、ロゴを並べるだけでなく、見られる・伝わる・好意的に受け取られる掲出方法を考える必要があります。