プロスポーツクラブのホームゲーム会場は、ファンが最も熱量を持って集まる場所です。にもかかわらず、多くの会場では「次回のホームゲーム告知」が見当たりません。
せっかく現地に訪れたファンに「次も来たい」と思わせる仕掛けがないのは、非常にもったいない。この記事では、現状の課題と他クラブの事例を比較しながら、改善のヒントを探ります。
目次
1.なぜ現地に“次回試合告知”がないのか?
2.なぜこの課題が放置されているのか?3つの理由
3. カスタマージャーニーマップで見る「次回告知」の必要性
4.他クラブに学ぶ:韓国バスケの取り組み
5.何が失われているのか? 機会損失の本質
6.すぐできる改善策と導入しやすい商品提案
7.効果の見込みと事例イメージ
8.まとめと次のアクション
1.なぜ現地に“次回試合告知”がないのか?
プロスポーツの試合会場は、最も熱量が高く、リピートが生まれやすい場所です。しかし実際には、多くのクラブで「次回のホームゲームがいつ、どこと、どこで行われるのか」が現地で全く告知されていません。
SNSなどで情報発信はしているものの、それを見ていない人も多く、特にライト層や初めて観戦に来た層には情報が届いていないのが実態です。せっかく会場に来てくれたファンに、次の試合を伝えないのは、機会損失以外の何ものでもありません。
2.なぜこの課題が放置されているのか?3つの理由

⑴「現地」は告知媒体ではなく“演出空間”という認識が強い
多くのクラブでは、ホームゲーム会場は“非日常の演出空間”として捉えられています。BGM・照明・ビジョン・装飾などの演出に力を入れる一方で、「次回来場を促す導線設計」が盲点となっています。
その結果、「今日を楽しんでもらえればOK」という意識が先行し、継続的な告知・販促施策が後回しにされがちです。
⑵ 広告スペースや人員の“優先順位”が後回しにされている
限られた会場内のスペースでは、スポンサー広告や演出機材が優先され、次回告知のための「専用スペース」が確保されていません。また、設営・運営スタッフのリソースも「当日の演出対応」に追われがちで、次回試合の案内掲示は“やろうと思えばできるが、後回しにされている”という状況です。
⑶ デジタル施策への偏重と、現地施策の分断
SNSやアプリなどのデジタル施策に多くの予算・人材が投入される一方で、「現地の物理的な販促」はマーケティング施策の主戦場から外れがちです。結果として、現地装飾とデジタル施策が分断され、統一的なファン導線が設計されていないまま放置されています。
3. カスタマージャーニーマップで見る「次回告知」の必要性
ファンが再来場に至るまでのプロセス(=カスタマージャーニー)を俯瞰してみましょう。
【① 認知 → ② 興味 → ③ 行動 → ④ 満足 → ⑤ 継続】
という流れで動きます。この流れをカスタマージャーニーといいます。
“現地観戦”というのは、まさに③〜④の感情が最大化されたタイミングです。
ファンは「興奮」「感動」「一体感」などポジティブな感情が最大限高まっている状態にあります。
そのときに「次回観戦への誘導」という次の一歩”を促すフックがなければ、リピートにはつながりません。
つまり、試合会場での告知とは、お金をかけずリピーターを増やせる場です。
カスタマージャーニーを分断させないためにも、次回試合告知は欠かせない設計要素なのです。
4.他クラブに学ぶ:韓国バスケの取り組み
当社では世界のプロスポーツチームの研究もしています。日本から一番近い国、韓国のプロバスケットボールリーグ、KBLも見に行きました。
韓国のプロバスケットボールリーグ(KBL)では、会場内の至るところに「次回のホームゲーム」の告知がされています。たとえば、入場ゲート付近には看板やバナーが設置されており、来場してすぐに「次の試合は〇月〇日」と視界に飛び込んできます。
日程と対戦カード、そして選手のビジュアルを組み合わせることで印象にも残りやすく、SNS告知と連動させてます。欲を言えばQRコードからチケット販売ページに飛べる仕組みも導入されていればgoodですね。
彼らは「現地の熱量をその場で次回観戦に繋げる」ことに本気で取り組んでいるのです。
5.何が失われているのか? 機会損失の本質
試合観戦後のファンは、感情が動いており「また来たい」と感じていることが多いです。特に勝利の後などは。そのタイミングで次回のチケット情報がなければ、自分で検索しないといけなくなります。しかしこの「検索する手間」がハードルとなり、再来場のチャンスを逃してしまうのです。
また、次の予定が入ってしまうと「行きたくても行けない」という事態にもなりかねません。これは単なる1試合分のチケット収入の損失ではなく、ファンのLTV(生涯価値)を落としてしまう大きな損失です。
え?チラシを配布してる?
残念ながら正直、効果はありません。チラシはゴミ箱に捨てられている光景をよく見ますよね。ご存じの通リほとんど見られていません。
6.すぐできる改善策と導入しやすい商品提案
ここでは、すぐに取り入れやすく、コスト面でも導入しやすい3つのアイデアを紹介します。
1つ目は「のぼり旗」による試合告知です。
次回の試合日程と対戦カードを記載したのぼり旗を、常設で設置するだけでも視認性は大きく向上します。テンプレート化されたデザインを使えば、都度制作の負担も軽減され、導入費用も1本あたり1〜2万円程度と手軽です。
のぼり旗についてはこちら
⑴なぜ「のぼり旗」なのか?
のぼり旗は、「場所を取らず」「設置が簡単」で「デザインの自由度も高い」ため、すぐに始められる“告知ツールとなります。
⑵活用シーンと設置ポイント
以下は、会場で「次回試合告知のぼり旗」を効果的に設置できるポイントです。
① 入場ゲート付近
観客が最初に目にする場所。
「次回ホームゲーム 〇月〇日 vs ○○」と日程と対戦カードを記載し、記憶に残るファーストインプレッション”を狙います。
② グッズ売り場・コンコース
購買の流れの中で、自然と目に入るように配置。
選手グッズと一緒に「次回試合にも来てね!」という連動訴求が可能です。
⑶デザイン構成のポイント
「ただの情報」ではなく、「来たくなるデザイン」が鍵です。
- 【上部】:「次回ホームゲーム」など目を引くキャッチコピー
- 【中央】:「〇月〇日(日)vs ○○」という日程と対戦カード(文字は大きく)
- 【下部】チケット販売中!やQRコードで購入ページへ誘導
- 【背景】チームカラー+選手の写真やマスコットでSNS映え
※サイズはW600×H1800mm程度が主流。複数本を設置すればさらに視認性UP。
⑷コスト・運用面
- 1本あたりの製作費用は1万〜2万円前後(フルカラー印刷+防炎加工)
- 繰り返し使える「フレーム+差し替え式」のテンプレートにすればコスト最適化
- スタッフで簡単に設置・撤去可能(3分程度)
⑸こんな効果が期待できます
- 現地で再来場日を明確に伝えることで次も行こうという行動を引き出す
- SNSで撮影されることで自然な情報拡散を促進(例:等身大パネル+のぼり旗背景)
2つ目は「フォトスポット型の告知」です。
たとえば、選手の等身大パネルの横に「次回ホームゲーム:〇月〇日 vs〇〇」と記載したサインボードを置くだけで、ファンは自然とその情報を写真に残します。SNSへの投稿によって情報拡散にもつながり、再来場のきっかけになります。
等身大パネルについてはこちら
⑴なぜ「フォトスポット」が有効なのか?
プロバスケットボールの試合会場は、ファンの感情が大きく動く“ライブ空間”です。そこでの記憶を、写真という形で残してもらうことで、記憶定着と情報拡散の両方が実現できるのが「フォトスポット型の次回告知」です。
ただの文字告知ではなく、「写真を撮りたくなる」演出に次回情報を組み込むことで、ファンは自然にその情報を記録・共有し、SNS経由での認知も広がります。
⑵設置イメージと構成の基本
● 具体例:「選手等身大パネル」+「試合告知ボード」
選手の等身大パネルの隣に、「次回ホームゲーム:〇月〇日 vs〇〇」と明記したサインボードを配置するだけで、観客は自然と写真を撮り、SNSにアップします。
▼おすすめの構成要素:
- 主役:選手の等身大パネル
→ 試合用ユニフォーム姿やプレー中のポーズでインパクト大
→ チームカラーを背景に使うと統一感が生まれる
- 横に設置するサインボード
→ 「次回ホームゲーム:〇月〇日(日)VS ○○」「会場名」「チケット好評発売中」などの明記
→ QRコードを入れて、チケット購入ページへ誘導するのも効果的
- 背景をフォトブース化
→ チームロゴやスローガン、マスコットのイラストなどを背景に設置すれば、“映える”写真に

フォトスポット用パネルはこちら
⑶設置場所と動線設計
● 有効な設置ポイント
- 入場ゲートのすぐ先
→ 試合前の高揚感のなかで写真を撮ってもらえる
- コンコース・売店付近
→ 試合中のタイミングで買い物ついでに撮影する人も多い
- 出口付近
→ 試合の余韻の中で「次回も来ようかな」という気持ちが自然に高まり、次回情報が強く残る
⑷期待される3つの効果
① 記憶に残る
写真に残ることで、「あ、次の試合行けそうだな」「友達も誘おうかな」と、観戦予定を立てるきっかけになります。
② 拡散される
SNS投稿で「次回試合〇月〇日」という情報がタイムラインに載ることで、ライト層や未観戦層にリーチ可能になります。
③ 購入動線が生まれる
QRコードをボードに設置することで、撮影→チケットページ遷移→購入までの流れを設計できます。
⑸制作・運用コストの目安と工夫
- 等身大パネル:1体2〜4万円程度(素材や仕様により変動)
- サインボード:1万〜1.5万円(屋内用・軽量タイプ)
- QRコードやチームロゴ、チケットURLのカスタマイズも自由
- 毎試合差し替えしなくても、「次回の対戦相手と日付部分のみ差し替えできる設計」がベスト
3つ目は「トイレや出口前にA型看板を設置する方法」です。
「次の試合は〇月〇日!チケット発売中!」といったシンプルなコピーだけでも、導線上に設置することで印象に残りやすく、購入行動に繋がります。設置工数も少なく、初めて導入するチームにおすすめです。
⑴A型看板とは? その特性と強み
A型看板は、折りたたみ式の自立型サインです。表と裏に表示面があり、設置・撤去が簡単で、イベント会場や店舗でもよく活用されています。
プロバスケットボールの試合会場において、このA型看板を**「トイレ前」や「出口前」など導線上の“スキマ空間”**に設置することで、観客に“次回の試合情報”を自然に伝えることができます。
不動産でよく使うこれですね。
⑵なぜA型看板が効果的なのか?
● 理由1:目に入りやすい
人が必ず通る導線上、特にトイレ前や出入口など「足を止める場所」や「通過時に目線が落ちる場所」に設置するため、視認性が高い。
● 理由2:導入コストが非常に低い
専用スタンドを持っていなくても、1~2万円で十分導入可能。設置も工具不要で、スタッフが数秒で対応できます。
● 理由3:情報を絞ることで“伝わる”
「次の試合は〇月〇日!チケット発売中!」のように、たった1行のコピーで行動を促せる。余計な装飾がない分、訴求力が高いのです。
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⑶設置場所の戦略
① トイレ前
→ 誰もが利用するスペース。待っている間や並んでいるときに自然と目に入ります。スマホでQRコードを読み取り、チケットページに飛ぶきっかけにも。
② 会場出口付近
→ 試合の余韻が冷めないうちに「次回も来よう!」と思ってもらえるラストチャンス。チケット販売中という文言で、その場で購入行動に繋げます。
③ コンコースの動線中央
→ 立ち止まらなくても情報が目に入る。片面ではなく両面表示で、行きと帰りの両方向から訴求できます。
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⑷デザインのポイント
A型看板の効果を最大限に引き出すためには、以下のようなシンプルな構成が重要です。
- 見出し:「次のホームゲーム!」「チケット発売中!」など、一目で要点がわかる言葉を大きく配置
- 日付・対戦カード:「〇月〇日(日)vs ○○」を目立つ位置に
- ビジュアル:選手写真やチームロゴで一体感を演出(なくてもOK)
- QRコード:スマホで即チケットページに遷移可能な設計がベスト
⑸コストと運用面
- A型看板本体:1台30,000〜60,000円前後(屋内用・軽量タイプ)
- 差し替え用パネル:1枚あたり10,000〜30,000円(印刷物)
- 運用の工夫:
- 「差し替え部分をテンプレート化」して制作費削減
- 「観客動線マップ」と連動して設置場所を戦略的に選定
- 「試合終了後10分以内の設置」で印象度が大きく変わる
⑹LEDビジョンを使いランニングコストを下げる
7.効果の見込みと事例イメージ
実際にA型看板を導入したあるクラブでは、会場出口に「次回試合のお知らせ」を設置したことで、チケット販売サイトへのアクセス数が試合終了直後に急増したという報告があります。
また、観客アンケートにおいても「次回の日程がその場でわかって便利だった」「友人にもその場で伝えられた」など、ファン目線でのポジティブな反応が確認されています。
8.まとめと次のアクション
プロスポーツチームのホーム会場は、最も効果的に次回観戦へと誘導できる場所です。その場で「次も来たい」と思わせる工夫をすることが、ファンの継続率を高め、売上にも直結します。
まずは、のぼり旗やA型看板など、簡単に始められる手法から取り入れてみることをおすすめします。それだけで、再来場率やチケット販売数に明確な変化が現れる可能性があります。
ご希望があれば、すぐに使えるテンプレートや設置事例をご紹介いたしますので、ぜひご相談ください。
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