プロスポーツにとって開幕戦は、シーズン全体の空気を決定づける特別な一日です。新たな戦いの幕開けを告げる舞台であり、ファンにとっては「今年はどんなシーズンになるのか」という期待感が最高潮に高まる瞬間です。同時にスポンサーにとっても、最も注目が集まる機会のひとつ。開幕戦での露出や演出は、その後の1年間のイメージやファンとの距離感に大きく影響します。だからこそ、クラブ関係者にとって「開幕戦をどう演出するか」は悩ましいテーマではないでしょうか。
一方で、現場には「時間が足りない」という切実な事情もあります。限られた人員や予算の中で準備を進めてきたものの、気づけば開幕直前。もう新しい仕掛けを加えるのは無理ではないか、と感じている担当者も多いはずです。しかし安心してください。開幕戦の装飾や演出は、必ずしも長期間の準備を必要とするものばかりではありません。設営が短時間で済み、撤収も容易なアイテムを選べば、直前のタイミングでも十分に導入可能です。
そして何より重要なのは、「小さな仕掛けでも雰囲気を大きく変えられる」という事実です。入場ゲートを彩るだけでファンの気持ちは高揚し、スタンドに旗が並ぶだけで一体感は一気に高まります。フォトスポットを設置すればSNSを通じて自然に拡散が広がり、スポンサーの価値訴求にもつながります。つまり、開幕直前であってもまだ間に合うのです。本記事では、そんな即効性のある装飾・演出の具体的なアイデアをまとめました。残された時間を最大限に活かし、開幕戦をクラブ・スポンサー・ファンが一緒に盛り上がれる場に変えていきましょう。
目次
1.なぜ開幕戦の装飾が重要なのか
2.開幕戦直前に多い3つの悩み
3.直前でも実現できる装飾・演出の特徴
4.ファン体験を高める3つの視点
5.スポンサー価値を高めるポイント
6.すぐ導入できる装飾＆おすすめ商品アイデア
まとめ
開幕戦はクラブにとって、一年の「第一印象」を決定づける舞台です。初来場のファンにとっては、その体験が「また来たい」と思えるかどうかを左右し、リピーターにとってもクラブの進化を実感できる特別な日となります。数字を見ても、その影響力は明らかです。Bリーグの2023-24シーズン開幕節では、入場者数が前年から19.5％増加し、17万8,347人を記録。B1では18試合、B2でも6試合が満員となりました。バレーボールのSVリーグも同様に、2024-25シーズン男子の平均入場者数が3,125人と目標の2,750人を上回り、女子も1,237人を集めるなど、開幕から高い注目を集めています。
こうした盛り上がりをさらに確実なものにするのが「装飾や演出」です。会場に一歩踏み入れた瞬間の高揚感や、非日常を演出する仕掛けは、ファンの感情を動かし、その体験を長く記憶に残す役割を果たします。加えて、現代の観戦体験はSNSと切り離せません。Deloitteの調査では、90%以上のZ世代ファンがソーシャルメディアでスポーツ関連コンテンツを消費し、その結果46%がオンライン視聴へ、33%が会場への来場へと動いています。さらにライブ中にSNSを利用する割合は43%にのぼり、SNSに映える演出は“観戦のきっかけ”だけでなく“来場促進”にも直結する戦略的要因です。
さらに、装飾や演出はクラブの経営基盤強化にも直結します。Bリーグでは「B.革新」により、2026-27シーズンから入場者数4,000人以上、売上12億円以上、収容規模5,000人以上といった新基準が設けられます。ファン体験を高めてリピート率を上げることは、こうした基準を満たすためにも欠かせません。
また、バスケットボールに限らず、他競技のプロリーグでも開幕戦の演出が観客動員を左右する兆候が見られます。再編されたSVリーグは2024–25シーズン、総観客数が1,034,667人に達し、前身のVリーグ時代（528,389人）からほぼ倍増しました。なかでも男子観客は＋75 %、女子は驚異の＋195 %という伸びを記録し、ファン層の拡大と会場演出の価値を裏付けています。また、Vリーグ時代の平均入場者数（男子・女子合計）は年間約36万人〜46万人台に留まっており、SVリーグの急成長は際立っています。これらの事実は、リーグ全体の注目度が向上し、来場者のエンゲージメントを向上させることが重要施策であることを明示しています。
このように、開幕戦の装飾は単なる“飾り”ではなく、ファン体験を起点にSNS拡散・収益強化・地域活性化までを生み出す戦略的投資です。BリーグもSVリーグも9月・10月に開幕を迎える今こそ、クラブにとって装飾は未来を見据えた欠かせない一手となるでしょう。
開幕戦はシーズンの顔となる一戦ですが、現場では「やりたい演出」と「現実的な制約」の間に大きな隔たりがあります。特に直前に多いのが次の３つの悩みです。
こうして「装飾の必要性は理解しているのに、予算・時間・人の制約で踏み切れない現状」があります。そのギャップこそ、直前でも現実的に導入できる“仕掛け”が求められる最大の理由です。
「もう時間がない」と感じている担当者様にこそ知っていただきたいのが、直前でも導入できる装飾や演出です。大規模な工事や長期準備を要するものではなく、設営・撤収が短時間で行えるアイテムであれば、限られた人員でも十分対応可能です。例えば、エア看板やバナー類は空気を入れる・骨組みに布を張るといった簡易な構造が多く、数時間あれば会場全体の雰囲気を一新できます。撤収も同様に短時間で済むため、試合当日のオペレーションを圧迫しないのが大きな利点です。
さらに、直前対応に強い装飾の多くは「汎用性」が高いことも特徴です。デザイン面ではクラブロゴやスポンサー名を差し替えるだけで、まったく異なる演出に早変わりします。例えばXバナーやのぼりなどは、布部分を差し替えるだけで再利用が可能。スポンサー交代やテーマ変更があっても、新規製作より短期間かつ低コストで対応できます。これにより、クラブや大会ごとの事情に合わせた柔軟な活用が実現します。
また、収納や再利用のしやすさも無視できません。畳んで保管できるXバナーや空気を抜いて保管できるエア看板は、倉庫スペースをほとんど取らず、次回以降のイベントでも繰り返し使うことができます。結果として、一度の投資で複数回活用できるため、長期的には非常にコスト効率が高いと言えます。
つまり直前でも導入可能な装飾とは、「短時間で設営・撤収できる」「差し替えが容易で汎用性が高い」「保管・再利用が効きコスト効率に優れる」という三拍子を兼ね備えています。開幕戦直前だからこそ、こうした特性を持つアイテムを戦略的に選ぶことで、限られた準備期間を最大限に活かし、ファンに強烈なインパクトを与えることができるのです。
スポーツ観戦は、試合そのものを見るだけではありません。ファンは、会場に足を踏み入れる瞬間から帰宅後に余韻を楽しむまでの一連の流れを体験します。この「旅（カスタマージャーニー）」を構成する装飾や仕掛けには、没入・参加・記憶の3つの視点が鍵となります。
1.没入感をつくる：入場ゲートや導線演出
ファンにとって入場の瞬間は、試合の期待感を最も高める大切な場面です。Deloitteの調査によれば、観客満足度を決定づける要素として「安全性・快適性・視界・スタジアムの雰囲気」といった基本要素が、他の要素に比べて50％以上も重視されていることが明らかになっています。入場直後に「快適で特別な空間に来た」と感じられるかどうかが、全体の体験価値を左右するのです。
海外スタジアムの事例も参考になります。オランダのヨハン・クライフ・アレナでは、モバイル制御可能なLED照明を導入し、入場時から試合開始に至るまで光の演出で観客を迎えています。照明が切り替わることで場内全体がチームカラーに染まり、試合前から没入感を高める仕掛けとなっています。
2.参加体験を仕掛ける：フォトスポット・SNS導線
観客が「自分もイベントの一部だ」と感じられる仕掛けは、会場の熱気を大きく高めます。その代表的な方法が、フォトスポットやSNS導線の設計です。
実際に、スポーツ観戦の来場動機にSNSが大きく影響していることは調査からも明らかです。Deloitteのレポートでは、Z世代の90%以上がスポーツ関連コンテンツをSNSで閲覧しており、そのうち約3割がそれをきっかけに会場観戦へ参加していると報告されています。つまり「SNSで映える演出＝来場促進のトリガー」と言えます。
海外事例としては、アメリカNBAのゴールデンステート・ウォリアーズ（チェイス・センター）が挙げられます。アリーナ内外に大型フォトウォールを設置し、試合前後にはファンが自然と列を作って撮影。その写真がInstagramやXで拡散され、クラブの公式ハッシュタグの使用回数が増加した事例があります。
国内でも同様の流れが生まれています。Jリーグのクラブがスタジアム外にマスコットの大型パネルを設置した際、試合日だけで数百件規模の投稿が確認され、スポンサー名入りデザインがそのまま広告露出として機能しました。これは、来場者の体験を拡散させるUGC（ユーザー生成コンテンツ）が、広告価値を持つことを端的に示しています。
このように、フォトスポットやSNS連動企画は「楽しいから撮る」「撮ったら投稿する」という自然な行動を引き出し、ファン体験を深めると同時に、クラブやスポンサーの認知拡大に直結します。特に若年層に向けた集客施策では、最も効果的な導線設計のひとつといえるでしょう。
3.記憶に残す：選手・スポンサーとの結びつき、ノベルティ
観戦体験を「また来たい」と思わせる記憶に変えるには、試合後の仕掛けが重要です。観客は帰宅後も、その日手にしたモノや目にした演出によって体験を思い返します。
「記念グッズがあると再来場意欲が高まる」ことを示す調査もあるように、ノベルティは単なる配布品ではなく、体験を持ち帰らせる装置といえます。特にスポンサー名を入れたタオルやステッカーなどは、日常生活で何度も目にすることで自然なリマインダーとなり、スポンサー想起率を高めます。
このように「記憶に残す」仕掛けは、ファンのリピート率を高めるだけでなく、スポンサー価値を持続的に印象づける役割を果たします。体験を形に変えて持ち帰らせるノベルティ、感情を締めくくる退場時の演出。その積み重ねこそが、クラブの長期的なファン基盤を育てるのです。
こうした装飾・演出は単なる“場を飾る”だけでなく、ファンの感情的な体験をデザインし、試合前・中・後の一貫した顧客体験を実現することに他なりません。結果として「また来たい」「応援してよかった」という体験価値が生まれ、リピート率・口コミ・スポンサー価値を押し上げる戦略的投資となります。
スポーツの会場装飾や演出は、ファン体験を高めるだけでなく、スポンサーの価値を引き出す重要な役割を果たします。特に開幕戦のように注目が集まるタイミングは、スポンサーにとって年間を通じた広告効果の基盤をつくる絶好の機会です。ここでは、装飾を活用してスポンサー価値を最大化するポイントを整理します。
1.視認性を高める「広告枠」としての装飾
スポンサーにとって最も分かりやすい価値は「露出」です。視覚的な広告は高い浸透力を持ちます。特に、入場ゲートや導線に設置するバナーや看板は、すべての来場者が必ず目にする場所であり、広告枠として非常に効率的です。「○○ゲートからご入場ください」といったネーミングライツ型の演出は、スポンサー名を反復的に認識させる効果があり、自然な形でブランドを刷り込むことができます。
2. SNSを通じた拡散効果
スポンサー価値は、会場に来場した観客だけでなく、SNSを通じた拡散によって何倍にも広がります。実際、Deloitte の調査でも、Z世代はSNSを通じてスポーツに接触する割合が非常に高く、デジタル体験が来場意欲にも影響していると指摘されています。
つまり、フォトスポットやスポンサー名入りのバナーは、SNS上で「二次的な広告」として機能します。ファンが自発的に撮影・投稿した写真にはスポンサー名やロゴが映り込み、それが何百・何千という人々のタイムラインに届きます。これは従来の広告出稿では得られない、自然で信頼性の高い露出効果です。
3.クラブの経営基盤強化との連動
スポンサー価値を高める装飾は、クラブ経営にとっても極めて重要です。Bリーグでは「B.革新」と呼ばれる構造改革が進行しており、2026-27シーズンからは入場者数4,000人以上、売上高12億円以上、アリーナ収容規模5,000人以上といった厳格な基準がライセンス制度として導入されます。
こうした基準をクリアするためには、単に試合を開催するだけでは不十分です。観客を惹きつける会場演出によって来場者数を安定的に伸ばし、スポンサーに「投資価値のあるプラットフォーム」と認識してもらうことが不可欠です。スポンサーから見れば、会場装飾によるブランディングは「ファン体験の向上」と「クラブの成長」を同時に支える投資先として魅力を持つのです。
開幕戦は、そのシーズンを象徴する特別な舞台。限られた準備期間でも、設営が簡単で再利用性のある装飾を選べば十分に間に合います。ここでは商品別に「特徴・開幕戦効果・スポンサー活用・運用のコツ」に加えて、納期目安を整理しました。
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「2Dエア看板」
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特徴：手元に残ることで観戦体験を記憶として定着させる記念品。小型で軽量なアイテムが多く、搬入や配布もスムーズに行えます。
開幕戦効果：退場時に配布すれば、試合の余韻をファンが自宅まで持ち帰ることが可能。特に「開幕戦限定デザイン」のノベルティはコレクション性が高く、SNSでの投稿や拡散を自然に促します。
スポンサー活用：タオルやステッカー、リストバンドといった日常的に使えるアイテムにロゴや商品名を入れることで、使用のたびにスポンサーを想起させる効果があります。袋や台紙に次戦情報やQRコードを入れると、再来場やEC購入導線にも直結します。
運用のコツ：出口を左右に分けて二方向から配布すると混雑を回避できます。雨天時は耐水仕様の袋や封入で品質を保つとファン満足度が高まります。
納期目安：数量や仕様によりおおよそ2〜4週間。簡易な印刷物（ステッカー・ポストカードなど）であれば1週間程度でも対応可能なため、開幕直前の追加発注にも柔軟に対応できます。
「のぼり」
特徴：設置が容易で、会場の導線や通路を一気に華やかに彩れるアイテム。
開幕戦効果：新加入選手や新人をファンに強く印象づけられる。さらに、1本だけ特別デザインを混ぜれば「探したい・撮りたい」という気持ちを刺激し、SNS投稿のきっかけに。
スポンサー活用：選手写真の横に企業ロゴを組み合わせることで「応援＝スポンサーへの好意」につながりやすい。
運用のコツ：等間隔で配置して統一感を演出。屋外や風の強い場所ではポール固定や結束バンドで安全対策を徹底。
納期目安：デザイン確定から約10日〜2週間。印刷枚数が多い場合や複数デザインを制作する場合は余裕を持った発注が安心。
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「横断幕」
特徴：広い面積で訴求でき、アリーナ内ではテレビ中継や写真にも映り込みやすい。
開幕戦効果：会場全体をひとつにまとめる“面の演出”として機能。短いスローガンを大きく打ち出すことでファンの記憶に残りやすい。
スポンサー活用：クラブのスローガンと企業ロゴを並べることで、双方のメッセージを同時に発信可能。特に開幕戦は露出機会が多く、価値が高い。
運用のコツ：たるみのない均一な張りを心掛けると、視認性が格段に向上。設置場所によっては照明の反射や風圧も考慮する。
納期目安：デザイン確定から約2週間。大型サイズは輸送や設置確認に時間を要するため、早めの調整が望ましい。
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「等身大パネル」
特徴：ファンに人気の撮影スポットとして活躍。軽量で設営が容易。
開幕戦効果：記念写真を撮りたいニーズが最も高まる開幕戦で効果を発揮。UGC（ユーザー生成コンテンツ）の発生を後押しし、SNS拡散につながる。
スポンサー活用：背景や選手に持たせる形でスポンサー名を入れると、自然に写真に映り込み、押し付け感のない広告効果を生む。
運用のコツ：足型マークで撮影位置を明示すると利用がスムーズ。混雑防止のために列整理用のパーテーションやロープを用意しておくと安心。
納期目安：デザイン確定から約1〜2週間。発注のタイミングや仕様によってはさらに短縮も可能。
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いずれも設営・撤収が容易で、差し替えや再利用が効くアイテムばかりです。納期目安を把握しておけば、開幕戦直前でも十分に導入可能。ファンの心に残る演出とスポンサー価値の両立を、最小の準備期間で実現することができます。
シーズン開幕戦は、クラブにとって一年のスタートを告げる晴れ舞台です。ファンの期待感は高まり、会場に足を運んだ瞬間から「特別な一日」を感じてもらうことが求められます。装飾や演出はその雰囲気づくりの要であり、クラブの姿勢やスポンサーの存在を分かりやすく伝える大切な役割を担っています。
とはいえ、予算や準備時間、人員といった制約から「もう間に合わないのでは」と悩む担当者も少なくありません。しかし、設営や撤収が簡単で再利用も可能なアイテムを選べば、直前でも十分に導入できます。ウェルカムゲートやサークルゲートで非日常の入口をつくり、エア看板やのぼりで導線を華やかに。横断幕で会場全体を一体にまとめ、等身大パネルやノベルティで余韻を持ち帰ってもらう。たったこれだけで会場の印象は大きく変わります。
装飾は「目に映る雰囲気」だけでなく、ファンの心を動かし、SNSや口コミを通じて広がる体験そのものです。直前でもできる工夫を積み重ねることで、今年の開幕戦を「また来たい」と思わせる最高のスタートに変えられるはずです。
引用元
https://www.bleague.jp/media_news/detail/id=441791
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モリアゲアドバイザー
エンドライン株式会社代表取締役社長
1973年生まれ。元お笑い芸人。
2004年31歳でエンドライン創業。わずか2年半で年商1億2000万円の会社に成長する。「エッジの効いたアナログ販促」と「成果が見えるメディアサービス」でリアル店舗をモリアゲるマーケティング会社。
企業理念である「エンドラインと手を取り歩むすべての人達と物心両面でhappyとなる、～7happinessの追求～」を掲げ、地域社会に役立つ会社を作ります。
今後は海外展開も行いますので乞うご期待！
