スポーツクラブは様々なスポンサーに支えられ、活動を行っています。その1つの業種として、清涼飲料水・お菓子メーカーが挙げられます。試合会場でサンプルをもらったり、ブースで試飲・試食を体験したりしたことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし皆さん、その「体験」は試合後も記憶に残っていますか?
今回は、同じ試飲・試食体験でも記憶に残り、その後の購買意欲の向上も期待できるアクティベーションをご提案します。
1.【事例解説】飲料メーカー向けアクティベーション
本事例では、試合観戦後に観客2万名を対象としたスポンサードリンクの配布と「1問アンケート→スクラッチくじ」の参加導線を実施しました。単に配布して終わらず、行動を生み、購入クーポンで次回接点までつなげた設計が本施策の核となっています。
本記事は、スポンサーアクティベーションを実務で多数支援してきた立場から、公開情報をもとにした実際の施策内容とその設計意図を整理・考察した分析記事と、それを踏まえて新たな企画を提案する紹介記事です。特定競技に依存しない汎用モデルとしてまずは解説していきます。
※本記事は、国内プロスポーツクラブの事例を参考に、汎用的なモデルとして考察しています。また、使用している画像は本事例のイメージを説明するための架空のイラストです。
この事例の型
- 入口:退場導線など「必ず通る場所」で配布(動線負担ゼロ)
- 参加:1問アンケートなど“軽い条件”で行動を発生
- 報酬:サイン物など「当たりの頂点」を置いて参加動機を作る
- 出口:参加賞に購入クーポンを入れ、会場外の購買へ延長
- 記憶:最後の体験(退場時)に置き、印象を固定する
⑴イベント概要
この事例から学べるのは、スポンサー施策を「配った」で終わらせず、来場者の行動を生み出し、さらに次の接点にまでつなげる設計の作り方です。会場では、スポンサー企業のスパークリングウォーターを起点に、来場者向けの2つのコンテンツが実施されました。
実施内容はシンプルで、1つは退場時に2万名へ飲料を配布するプレゼント企画。もう1つが、アンケートに1問回答することで参加できるスクラッチくじです。スクラッチくじの景品は、サイン入りユニフォーム、サイン色紙、キャラクターコラボタオル、そして参加賞として購入クーポンが用意されていました。
この施策を体験ベースでまとめると、会場内で起きていたことは次の通りです。
・退場時に、来場者2万名へ飲料を配布した
・1問アンケート回答をきっかけに、スクラッチくじへ参加できる導線を作った
・スクラッチくじに「サイン物」を頂点にした景品構造を用意した
・参加賞として、次の購買接点になるクーポンを設置した
つまりこれは、「試合+来場者特典」で終わる施策ではなく、観戦体験の中に“参加行動”を差し込み、さらに試合後の接点へ延長する設計でした。
(2)各施策の具体解説
施策① プレゼント
プレゼントは、退場のタイミングで実施されました。対象は来場者で、2万名に対してスポンサー企業のドリンクが配布されています。
配布は退場導線上で行われるため、来場者側の動線負担はほぼ発生しません。試合を見終えた直後の“最後の体験”として、強く記憶に残りやすい位置に置かれたコンテンツです。
施策② スクラッチくじ
スクラッチくじは、「アンケートに1問答える」という軽い条件で参加できる形式でした。
景品は、1等がサイン入りユニフォーム、2等がサイン色紙、3等がキャラクターコラボタオル、参加賞として同ドリンクの購入に使えるクーポンが設定されています。
この構造は、当たりを狙う動機と、外れても無駄にならない出口を同時に成立させています。
(3)4つの考察
【考察軸①】「配布」ではなく、関与設計になっていたか?
この施策が優れているのは、単なる配布ではなく「行動が発生する設計」が組み込まれている点です。
来場者は“もらって終わり”になりやすいのが配布施策ですが、本事例は「1問アンケート→スクラッチ」という流れを入れることで、来場者自身が“参加した”という感覚を持てる構造になっています。
▶ 当社視点(必須)
関与設計とは、参加させることではなく、その場の一部にすること
【考察軸②】体験は時間軸でつながっていたか?
アクティベーションは、どれだけ派手でも、体験が分断されると印象が薄れます。
本事例は、スクラッチで「試合当日の行動」を生み、配布で「試合後の余韻」を作っています。
特に退場時の配布は、試合観戦の最後に確実に入り込むため、強く記憶に定着します。
▶ 当社視点(必須)
アクティベーションの成否は、時間軸設計で9割決まる
【考察軸③】スポンサーは意味ある文脈で登場していたか?
ここで重要なのは、スポンサーが“看板”ではなく“体験の理由”として登場していることです。
来場者の手元に残るのはロゴではなく商品そのもの。しかも参加賞が購入クーポンになっているため、会場内で終わらず会場外へ文脈を延ばしています。
▶ 当社視点(必須)
ブランドは、登場理由を理解した瞬間に記憶される。
【考察軸④】次につながる拡張余地はあったか?
単発施策の多くは「当日だけ」で終わります。
本事例は、参加賞をクーポンにすることで“次の購買接点”を確保しています。これはスポンサーにとって、体験価値を売上行動へつなげるシンプルな設計です。
▶ 当社視点(必須)
良いアクティベーションは、続編前提で設計されている。
(4)事例まとめ
今回、最も評価すべきポイントは、配布施策を「満足の終点」で終わらせず、アンケート→スクラッチで行動を生み、クーポンで次回接点まで伸ばした点です。
この型は競技を問わず応用でき、配布が難しい場合でも「引換券」「デジタル特典」への置き換えで再現できます。特に相性がいいのは、来場者数が多く導線が明確な会場、飲料や食品など“体験後に使う商材”のスポンサー、そして参加ハードルを下げたいホームゲームです。
2.【提案】PLAYER’S FLAVOR PICK
先公事例が示した本質は、「配布」だけで終わらせず、行動を生み、次回接点まで延ばすことでした。
PLAYER’S FLAVOR PICKは、その設計思想を“飲料・お菓子”スポンサーに最適化して、商品を「推し選手の人格」と結びつけることで再現性を上げる提案です。ここで狙うのは、サンプル配布のような一過性の接触ではなく、ファン側に「推しの味を選ぶ」という行動理由をつくり、試合後も話題として残す状態です。
企画の一言定義
推し選手×フレーバーを1対1で紐づけ、「選ぶ/剥がす」を体験化して、会場外の購買導線(QR)までつなぐ。
狙い(この企画が作る“買う理由”)
・商品が広告ではなく「応援の一部」として登場する
・ファンの行動理由が「試す」から「推しの味を選ぶ」に変わる
・会場体験がSNS会話(推しは〇〇味派)に変換されやすくなる
(1)企画概要|「推しの味」を入口に、商品を“応援の一部”にする
本企画は、選手が“推しの味(フレーバー)”を紹介し、選手×フレーバーを1対1で紐づける施策です。
スタジアム内の複数ポイントにPOP装飾を設置し、ファンが自分の意思で「推し/好きな味」に触れる導線を作ります。
ここで重要なのは、商品が広告として置かれるのではなく、推しを知る・推しを選ぶ体験の中に組み込まれることです。
実装要素は、あくまでシンプルに成立させます。
選手の一言コメント
「これ飲むと気合入る!」「実は子どもの頃からこれ一筋」など、選手のキャラクターが伝わる短 文を掲示します。
QRコード(商品ページ/限定キャンペーン/EC購入)
会場体験を会場外へ延長する出口です。第1章の「購入クーポン」と同じく、当日で終わらせない接点を作ります。
KPIの例(提案側が提示しやすい形)
・参加者数(剥がした数/投票数)
・QRクリック率(推しフレーバー一覧への遷移)
・クーポン利用率(会場外購買への到達)
・SNS投稿数(ハッシュタグ・UGC)※任意
(2)狙いと効果|「推し×商品」で、行動が自然に発生する
この企画が生むのは、サンプル体験の“満足”ではなく、ファン心理に根差した“行動”です。
・商品が「選手の人格」と紐づくことで、若年層の購買行動が起きやすくなる
・「推し選手が好きな味」=「自分も買いたくなる」という心理が成立する
・スポンサー商品が“応援の一部”として会場体験に組み込まれる
・SNSでは「推し選手は〇〇味派」が会話として広がりやすくなる
ここでのポイントは、拡散を狙う前に、まず現地で語りたくなる材料を作ることです。語れる材料があると、SNSは結果として動きます。
(3)企画詳細①|好きなフレーバーが「誰と同じか」お楽しみ!
この企画は、ファンが“自分の好み”を起点に参加できる形です。
会場に、特大バナーを本物のお菓子で埋め尽くした装飾を設置します。ファンはその中から「自分の好きなフレーバー」を1つ選んで剥がします。
剥がした裏面に、そのフレーバーが好きな選手の写真(またはビジュアル)が出現し、「自分の好きな味=この選手」という発見が起こります。
さらにQRを読み込むと、「選手×フレーバー一覧」が見られ、推し選手の“推しの味”まで辿りつけます。
この設計は、配布の代わりに「剥がす」という行動を置き、参加の達成感を作る構造です。
企画詳細②|推し選手が好きなフレーバーを「推しゾーン」から剥がす
こちらは、推し起点で参加したいファン向けの導線です。
特大バナーを選手ごとのゾーンに分け、ファンは自分の推し選手ゾーンから1つ剥がします。全て剥がれたタイミングで、スポンサー商品(メーカー)とコラボした限定ビジュアルが出現する設計にします。
これにより、「参加者が増えるほど完成に近づく」状態ができ、現地で“続きが気になる”空気が生まれます。
※清涼飲料水の場合は重量の都合で壁面貼付が難しいため、床置き(特大バナー+設置台)で成立させます。
(4)当社が提供できる装飾物
現場実装は、運用負担を増やさずに成立させます。提供物は以下の組み合わせで設計できます。
ここまでをパッケージ化すると、クラブ側は「企画運営」ではなく「導線に置く」だけで回ります。
(5)第2章まとめ 
この提案が狙うゴールは、「試合会場で試した」ではなく、「推し選手の味を選んだ/当てた/語れる体験になった」に変えることです。
スポンサーにとっては露出ではなく“登場理由”ができ、クラブにとっては現地に“滞留と会話”が生まれます。特に飲料・菓子スポンサーとは相性が良く、シリーズ化もしやすい設計です。
3.【まとめ】スタジアムで”買う理由”をつくる
サンプルを「配って終わり」にせず、行動(1問アンケート→スクラッチ)を生み、購入クーポンで次回接点まで延長した点が先行事例の成功ポイントです。つまり、スタジアムで選ばれる条件は露出量ではなく、“買う理由”が体験の中で立ち上がっているかで決まります。
PLAYER’S FLAVOR PICKはこの構造を「推し×味」に翻訳します。近年ブームとなっている「推し活」に没頭する多くのファンは「推しの味を知りたい・同じものを選びたい」という動機で、選ぶ/剥がす体験を記憶に刻みます。さらにQRで会場外へつなげることで、購買は広告ではなく応援の延長として発生します。
配布や試飲が悪いのではなく、“記憶に残る設計”に転換できた瞬間に、スポンサー施策は販促からアクティベーションへ進化するのです。
結論(要点のみ)
- 配布は「入口」にすぎない。参加行動を挟むと記憶に残る
- 体験は時間軸でつなぐと強い(当日→退場→会場外)
- 出口は購買導線(クーポン/QR)で作る
4.よくあるご質問(FAQ)
- Q:スポンサー営業で、どんな切り口として使える施策ですか?
- A:本施策は「露出枠」ではなく、“買う理由を会場で作れる施策”として提案できます。
「配布して終わらず、行動データや購買接点まで設計できます」
「推し選手と結びつくので、SNSや会話に残ります」
といった形で、従来のロゴ掲示とは異なる価値として提示できます。
- Q:運営負荷が増えそうですが、現場は回りますか?
- A:運営負荷が過度に増えないよう、導線と装飾で“自然に回る設計”を前提としています。
ファンが自発的に参加する体験を中心にしているため、スタッフの動員は最小限で済みます。装飾物も自立式・床置きなど即設置できるものを想定しており、現場オペレーションを複雑化させないことを重視しています。
- Q:飲料以外(お菓子・日用品など)でも応用できますか?
- A:可能です。ポイントは「会場で触れる体験」→「参加行動」→「会場外の接点(QR/クーポン/EC)」の3点です。商材に合わせて“参加の形”を、剥がす/選ぶ/投票する/引き換える等に置き換えることで再現できます。
5.お問い合わせ
▼お見積依頼・お問い合わせのご相談はこちらから!
https://www.sports-decoration.jp/contact/